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「カゴの大きさは盲点だった」 ドンキの電動自転車を変えた、お客の意外すぎる「ダメ出し」

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ドン・キホーテがプライベートブランド(PB)の「情熱価格」から”カゴの大きい”電動アシスト自転車EVA PLUS2」を発売した。電動自転車と聞くと、バッテリーの持ちやスタイリッシュなデザインが重視されそうだが、なぜ「カゴの大きさ」にフォーカスしたのだろう。
「EVA PLUS2」は2020年11月に発売した「EVA PLUS」のリニューアル版である。走行距離、デザイン、カゴの大きさをアップデートした。
充電1回での走行距離は、標準モード使用時で約28キロから36キロに改善した。デザインでは、顧客ニーズの高いカラーリングを追加した。カゴの大きさは幅を370ミりから435ミリに変更し、大きなカバンも入れやすいようにした。
これらは、初代モデル「EVA PLUS」に対して顧客から寄せられた「ダメ出し」をもとに改善に至ったものだ。
ドンキ・ホーテを運営するパン・パシフィック・インターナショナルホールディングス(PPIH)は、21年2月に「情熱価格」をリニューアルした。「自社だけでつくる『プライベートブランド』ではなく、みなさんと一緒につくる『ピープルブランド』として生まれ変わります」という声明を発表。商品開発に顧客の声を取り込むために、商品に対するダメ出し募集サイト「ダメ出しの殿堂」を開設し、運用を続けている。
「EVA PLUS2」にはどのようなダメ出しが集まったのだろうか。同社PB企画開発部の飯山琢巳さん、PBマーケティングチームの小出まどかさんに話を聞いた。

「カゴの大きさは盲点だった」――初代モデルに集まったダメ出し

――EVA PLUSをリニューアルした背景を教えてください。

飯山: 20年11月にEVA PLUSを発売したところ、思った以上に販売が好調でした。シリーズとして広げるにあたり、「ダメ出しの殿堂」を使い、ピープルブランドとしてお客さまとの共創を進めました。

小出: 21年7月30日から約1カ月間ダメ出しを募集したところ、915の投稿がありました。「カラー展開を増やしてほしい」「価格を下げてほしい」「バッテリーの持ちを改善してほしい」などさまざまな意見をいただくなか、「カゴを大きくしてほしい」という意見を一定数いただきました。

――カゴの大きさとは意外ですね。どのように受け止め、反映させたのですか?

飯山: カゴの大きさは正直盲点でした。いただいたダメ出しをできる限り反映させ、EVA PLUS2の開発を行いましたね。
とはいえ、ただカゴを大きくすることはできないので、デザインとして不格好ではないかを見極めながら、ちょうどいい大きさを吟味しました。社員に協力してもらい、かばんのサイズを測り、横長のバックやPCなどを入れる通勤バックもすっぽり入る使い勝手のいい大きさに変更しました。
前モデルと比較して110%くらいのサイズアップを実現しています。ダメ出しにあった「かばんの変形」も解決できるのではと考えています。

飯山: 「デザイン」に関するダメ出しも多く寄せられていました。要望の多かったネイビーカラーを追加し、ロゴの大きさも工夫しています。EVA PLUSのメインの購買層は女性、主婦の方が多かったのですが、家族で共有できるように、使用シーンを選ばない形、デザインを意識して開発しました。

低価格以外にも「ドンキらしい」付加価値を提供

――「ダメ出しの殿堂」があることは、開発にどう影響しているのでしょう。

飯山: EVA PLUS2のカゴもそうですが、「ダメ出しの殿堂」があることで作り手・売り手ではなかなか気付けない意見をくみ取ることができています。開発を進めるとどうしても消費者の視点に気付けなくなるタイミングがあるのですが、「ダメ出しの殿堂」があることで常に消費者の視点に立ち、商品開発ができています。

――ドンキのPBの強みは手ごろな価格なのかな、と思っていたのですが、今後競合と戦い抜くためにどのような点を強化していこうと考えていますか?

小出: 情熱価格はお客さまと一緒につくるピープルブランドとして、「お客さまのワクワク・ドキドキをカタチに」をコンセプトに、お客さま視点での商品開発をモットーとしています。各商品に何かしらの驚きのニュースを提供し、「面白み」というドン・キホーテらしい付加価値をつけることで、今後も競合と差別化を図っていきます。