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経済対策決定!4つの柱とは?ポイントは感染対策と新しい資本主義の起動

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政府は、コロナ後の新たな社会を切り拓くための経済対策を11月19日に閣議決定しました。財政支出の総額が過去最大の55.7兆円、民間資金などの金額も加えて算出した事業規模は78.9兆円となります。

令和2年4月に「世界が新型コロナによる甚大な影響を受けて、戦後最大とも言うべき危機に直面している」との認識のもと決定した緊急経済対策の財政支出は48.4兆円でしたので、今回はこれを上回る規模です。

経済対策として過去最大になった、このコロナ克服・新時代開拓のための経済対策は、経済対策の裏付けとなる令和3年度補正予算案を11月26日に閣議決定し、年内できるだけ早くの成立を目指すといいます。

経済対策には一体どのような内容が盛り込まれているのでしょうか?「国民の皆様に安心と希望をお届けする」と謳う経済対策における、4つの柱を確認していきます!

経済対策のねらいは?

コロナ下では、これまでなかなか進まなかったデジタル化がスピーディーに進むなど、社会の変化の兆しが表れました。こうしたデジタルに加えて、2050年カーボンニュートラルの実現に向けた脱炭素化、先端技術やイノベーションに関わる投資や「人」への投資を行うことにより、生産性を引き上げていくことが、経済を自律的な成長軌道にのせて「成長と分配の好循環」を実現する上で重要だと考えられるようになっています。

このような成長に向けたチャンスを逃がさないためにも、日本を取り巻くさまざまなリスクに対応できる体制づくりが急務となっています。たとえば、コロナ感染者数が再拡大するリスク、世界的な供給制約や資源価格上昇などによる景気下振れリスク、気候変動による自然災害増大のリスクなどがあげられます。

こうしたリスクを防いで、経済を自律的な経済成長にのせていくことが今回の対策のねらいと思われます。なかでも、コロナ禍で厳しい影響を受けた方への支援をはじめとするコロナ感染拡大防止と、成長戦略と分配戦略による新しい資本主義の起動が、財政支出の大きい分野としてポイントになっています。

経済対策の4つの柱は?

新たな経済対策は、以下の4つを柱としています。

 

新型コロナウイルス感染症の拡大防止

「ウィズコロナ」下での社会経済活動の再開と次なる危機への備え

未来を切り拓く「新しい資本主義」の起動

防災・減災、国土強靱化の推進など安全安心の確保

それぞれの財政支出と事業規模をまとめると次のようになります。

ここから新型コロナウイルス感染症の拡大防止と「新しい資本主義」の起動の2つの分野の規模が大きいことがわかります。

4つの柱にはどのような内容が盛り込まれているのでしょうか?ひとつずつ確認していきましょう。

1.新型コロナウイルス感染症の拡大防止

【医療提供体制の確保等】

感染再拡大や十分な医療提供への不安に対応するため、今後、感染力が倍になった場合にも対応可能な医療提供体制の確保、ワクチン接種の促進、治療薬の確保が進められます。

 

【感染症の影響により厳しい状況にある方々の事業や生活・暮らしの支援】

人流抑制等の影響を受ける方の事業や生活支援を行います。事業者への支援としては、地域・業種を限定しない事業規模に応じた給付金(事業復活支援金)や実質無利子・無担保融資等の資金繰り支援延長、雇用調整助成金等の特例措置延長などがあがっています。

生活・暮らしへの支援としては、住民税非課税世帯(1世帯当たり10万円給付)や厳しい状況にある学生への支援などがあります。

2.「ウィズコロナ」下での社会経済活動の再開と次なる危機への備え

【安全・安心を確保した社会経済活動の再開】

社会経済活動の再開では、ワクチン・検査パッケージ等を活用して、感染拡大リスクを管理しながら、コロナの影響を大きく受けた分野における需要喚起の取り組み等を行い、社会経済活動の回復を図るとしています。ここには、Go Toトラベル等による需要喚起、イベントの開催・キャンセル費用等への支援などが含まれます。

 

【感染症有事対応の抜本的強化】

ワクチン・治療薬の研究開発や生産体制の強化、コロナ収束と社会経済活動の再開に向けた国際協力を通じて、感染症有事対応の強化を図ります。

3.「新しい資本主義」の起動

「新しい資本主義」の起動の内容は、成長戦略と分配戦略 の2つに分かれています。

 

成長戦略

【科学技術立国の実現】

成長戦略として、科学技術立国の実現により、イノベーション力を抜本的に強化し、コロナ後の新しい社会における成長をけん引するとともに、クリーンエネルギーの推進による経済と環境の好循環を造り出すことを目指します。また、スタートアップ支援により、イノベーション・エコシステムの機能強化を図ります。

 

【デジタル田園都市国家構想】

デジタル田園都市国家構想では、地方からデジタルの実装を進めて新たな変革の波を起こし、地方と都市の差を縮めて世界とつながることを目指しています。

デジタル実装としては、ローカル5G等のデジタルインフラの整備、交付金の大規模展開によるテレワーク・ドローン宅配などの推進、デジタル推進委員の全国展開などデジタルデバイド対策をあげて、誰一人取り残さず、全ての国民がデジタル化のメリットを享受できるように取り組むとしています。ここには、行政手続きのオンライン化や一人当たり最大2万円相当のマイナポイント付与も含まれています。

 

【経済安全保障】

経済安全保障として、先端半導体の生産拠点の国内立地・先端的な重要技術の実用化を支援するための基金の造成があがっています。

 

分配戦略

分配戦略では、安心と成長を呼ぶ「人」への投資の強化として、民間部門における分配強化に向けた強力な支援と、公的部門における分配機能の強化等に取り組むとしています。

 

【民間部門における分配強化に向けた強力な支援】

賃上げを行う企業への税制支援の抜本的強化、最低賃金引上げに向けた事業者への助成の拡充などで賃上げを促進していきます。

また、労働移動の円滑化・人材育成の強力な推進のために、職業訓練と再就職支援の組み合わせによる労働移動やステップアップの支援、デジタル人材育成の強化等の実施など、3年間で4,000億円の施策を実施する考えです。

ほかにも、多様な働き方の推進、多様な人材の活躍などの支援として女性や就職氷河期世代の支援、非正規雇用労働者の待遇改善に取り組むとしています。

 

【公的部門における分配機能の強化等】

看護、介護、保育、幼児教育など現場で働く方々の収入の引上げ等を行い、医療・福祉人材の育成・確保の支援を行います。こども・子育て支援の推進としては、子育て世帯に対する子供1人当たり10万円相当の給付があります。

4.防災・減災、国土強靱化の推進など安全安心の確保

【防災・減災、国土強靱化の推進】

【自然災害からの復旧・復興の加速】

【国家の安全保障の確保を含む国民の安全・安心】

 

激甚化・頻発化する風水害や切迫する大規模地震・津波等に対応するための「防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策」に基づく取り組みを推進するとともに、東日本大震災等からの復興、自然災害による被災者の生活の再建と復旧・復興に取り組むとしています。あわせて、国を取り巻く安全保障環境が激変する中で、国民の命や暮らし、領土、領海、領空を守り抜くとしています。

経済対策により期待される波及効果

経済対策により期待される波及効果として、どのようなことが考えられるでしょうか。

たとえばワクチン・検査パッケージの活用によって、感染対策と経済活動の両立による消費の回復が期待されます。また、スタートアップ支援により起業の活発化、イノベーションの創出などが期待されるでしょう。

先端半導体の生産拠点の国内立地についてはどうでしょうか。新たな生産拠点の立地による、生産能力の向上や関連産業の立地促進が考えられます。職業訓練や学び直しといった「人」への投資では、成長分野への労働移動促進、生産性向上、賃金上昇の動きにつながることが期待されます。

また、政府は看護、介護、保育、幼児教育などの収入引上げ措置で、民間企業における賃上げの流れをつくりたい考えですが、期待されるような効果があるか、注視していく必要がありそうです。