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国内IPO不調でも…日本ベンチャーの米NASDAQ「上場」を支援する動き

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国内IPO不調でも…日本ベンチャーの米NASDAQ「上場」を支援する動き

上場延期が相次ぐ日本のスタートアップ業界。

そんな中、アメリカの新興市場NASDAQに、国内上場していない国内スタートアップの「上場」を支援する動きがある。

仕掛け人のひとりは、千葉道場ファンドやドローンファンドなどを運営する投資家・千葉功太郎氏だ。

8月5日(現地時間)、この取り組みに進展があった。千葉氏らが関わる※法人PONO CAPITAL TWO(ポノ・キャピタル・ツー)社が、NASDAQに上場した

※千葉氏の同社での肩書きは社外取締役

PONO CAPITAL TWOには、現時点では実は一般的な事業内容は何もない。理由は千葉氏らが仕掛ける手法が、2020年〜2021年ごろに金融業界で注目が高まった「SPAC上場」※という手法だからだ。

※SPACとは:Special Purpose Acquisition Companyの略で、日本語では特別買収目的会社と呼ばれる。あらかじめ買収ビークルになる法人を上場させておき、一定期間のうちに有望な未上場事業会社を合併させることで、事業会社を実質的に「上場」させる。事業会社からみると、煩雑な上場プロセスを簡略化できるメリットがある。

千葉氏は、SPACによる「NASDAQ上場」には、国内IPOが冷え込む中でもポテンシャルがあり、国内ベンチャーに新しい「出口戦略」を作りたいと語る。

しかし、5月に報じられた投資銀行大手ゴールドマン・サックスのSPAC撤退報道などの通り、SPACの流行は急激に冷え込んでいるのも事実だ。

それでも「市場の激変があったからこそ、好機がある」と千葉氏は主張する。なぜ好機となりうるのか、市場の変化と狙いを聞いた。

勝機は「ゲリラみたいに小さいSPAC」上場

千葉功太郎氏

イベントに登壇する千葉功太郎氏(2022年7月撮影)。

撮影:小林優多郎

千葉氏らは、先立つ2021年8月、今回とは別のSPAC、PONO Capital Corp社(TWOは付かない)をNASDAQに上場させている。

PONO Capital Corpはいま、医薬品創薬企業Benuviaとの合併交渉(SPAC上場=前出の概念図にあるDe-SPACというプロセス)を進めている。「なるべく早い合併に向けて、対象企業と実務協議を詰めているところ」(千葉氏)というのが現時点のステータスだ。

前出のゴールドマン・サックスが撤退するとも報道される厳しい環境の中で、合併相手をみつけ、交渉に入れた背景はなにか。

千葉氏は、いくつかの理由があるが、現在のSPAC上場特有の事情があると説明した。

前出のゴールドマン・サックスをはじめとする投資銀行などが組成する場合、SPACの規模は10億ドル(約1350億円)規模の「巨大SPAC」になるとみられる。この規模では、本来、20億ドル(約2700億円)以上の企業価値をもつユニコーン企業との合併を狙うのが一般的だ(SPAC上場における合併相手の選び方については後述)。

それが、株式市場が急激に冷え込んだことによって、規模に見合った合併相手が減る、という現象が起こっているという。

一方、千葉氏らが仕掛けていたのは、約1億1600万ドル(約156億円)という、巨大SPACに比べると桁が1つ少ない「ゲリラみたいなサイズ」(千葉氏)のSPACだ。