令和4年度の最低賃金(時給)の引き上げ額(目安額)をめぐり、中央最低賃金審議会(厚生労働相の諮問機関)の小委員会は1日、全国平均で時給961円とする目安をまとめました。ロシアのウクライナ侵攻や円安の影響による物価高を受け、引き上げ幅は3年度の28円を上回り過去最大となりました。
目安額は地域の経済情勢に応じ、AからDの4ランクに分けて提示されました。Aは東京、大阪など6都府県で31円、Bは京都、広島など11府県で31円、Cは福岡、北海道など14道県で30円、Dは鳥取、沖縄など16県で30円となりました。
これまで、労働者側は家計を直撃する物価高を背景に、大幅な引き上げを主張してきました。一方、事業者側も早い段階から引き上げ自体は容認してきましたがただ、中小企業などは仕入れ価格の上昇を納入価格へ転嫁し切れずに収益が圧迫され、事業継続が危ぶまれるケースもあるとして配慮を求め、協議は難航しました。
今回は労使の調整役となる学識者(公益委員)を交え、7月25日に大詰めの協議を行ったが、妥結には至らなかった。その後も、労使は水面下で厚労省の担当者らを交え、引き上げ額の算定根拠となる物価などの最新の経済情報も踏まえ、慎重に調整を進めました。
引き上げの目安額は、近く中央最低賃金審議会から後藤茂之厚生労働相に答申される。その後、国の示す目安額を参考に、各都道府県での審議会を経て確定した額が10月から適用されます。
政府は早期の全国加重平均1000円以上の目標を掲げており来年には達するかもしれません。