NTTグループは、全国の小規模店向けに客がスマートフォンで買い物できる無人店舗のシステム提供を本格的に始めています。企業の従業員用や病院、学校内の店舗、人手が足りない地方の小売店を想定している。2024年度までに全国で200店の提供を目指しています。
NTT東日本の子会社が、提供する。来店客は、入り口にスマホのQRコードをかざして入店し、商品を選ぶ。カメラ機能を使って商品のバーコードを読み取り、事前に登録したクレジットカードや電子マネーで決済を行います。
店側は、レジ打ちのスタッフを減らして、陳列や清掃に回すことが可能になります。必要となるスタッフが減れば、人手確保の難しい深夜帯も営業しやすくなります。客がスマホで決済するので、専用のセルフレジを導入せずに済み、もうけの少ない零細店も活用しやすいです。
現在は7店にシステムを提供しています。無人に切り替えたNTTの従業員用店舗では、スタッフの数を減らして、営業時間を延ばしました。売り上げは増え、収益も大幅に改善したそうです。
買い物した顧客データを基に、在庫の数や気象を人工知能(AI)が分析して、適正な発注量を店側に伝えることもできます。売れ筋を示し、売れ残った商品をそのまま捨てる食品ロスが減ることも期待できます。
無人店舗は、コロナ禍で非接触のニーズが強まったことを追い風に、拡大しています。コンビニエンスストア大手のファミリーマートは日本郵政グループと提携し、全国の郵便局内で出店を進めています。JR東日本も駅構内の売店で採用しています。
NTTは、携帯電話の普及と人口減少で、固定電話の事業が縮小しており、通信事業のノウハウを生かした法人向け事業の拡大に力を入れています。