公益社団法人日本漫画家協会は、現行のインボイス制度導入について反対を表明した。
現在日本の漫画家は大半がフリーランスとして創作活動を行っております。
その中には前々年度の課税売上高が1000万円以下の「免税事業者」に該当する者が多く存在している。
インボイス制度では出版社等の発注元が仕入税額控除を行う為には取引事業者から登録番号が記載されたインボイス(適格請求書)を
発行してもらう必要がある。
インボイスを発行する為には所轄の税務署に登録しなくてはならない為免税事業者は課税事業者への変更を余儀なくされます。
インボイスを発行できない場合発注元と漫画家との関係悪化もしくは最悪免税事業者である事が理由で取引中止にされるリスクが考えられる。
課税事業者へ変更したとしてもシステム導入・専門的なサポート等なしではインボイス発行に伴う事業者の事務処理負担が増加することも懸念されこれらはいずれも漫画家の創作活動を阻害するおそれがある。
そもそもインボイス制度は商品等のカテゴリーによって8%と10%の複数税率が混在する「軽減税率制度」に伴い導入されたものであり、制度導入の前に一時的な一律税率化を検討する余地はあると考えるとのことです。
さらに、ペンネームで活動することの多い漫画家にとってはインボイス発行事業者になると「適格請求書発行事業者公表サイト」に本名が公表されるため、個人情報保護への懸念を抱く漫画家も少なからず存在するのが実情であるとしている。
同協会は、健全なる漫画の普及および漫画創作活動の奨励、ひいては我が国文化の発展に寄与することを目的として活動しており、前述のいくつかの懸念事項を払拭できない限り、現行のままインボイス制度が導入されることは看過できないという。
先般、政府が閣議決定した「骨太の方針 2022」においても「クリエーターの創作活動の支援」が重点施策として盛り込まれているという現状、多くの漫画家に不利益を喚起しかねない懸念事項が払拭されていない、現行のインボイス制度には反対し、見直しを求めるとのことだ。