原材料の価格高騰で幅広い分野で値上げが相次ぐ中、中国地方の駄菓子店が頭を悩ませています。仕入れ値が上がっても、親しみやすい価格が魅力なだけに、1円単位の値上げに気をもんでおります。利益を度外視して価格を据え置くケースもあります。駄菓子と並ぶ商品である海外産のおもちゃも円安で値上げの波にさらされ「子どもの社交場」が揺れています。
仕入れ値3割アップ、7月以降に玩具も
山口県防府市の防府天満宮近くの赤いのれんをくぐると、1個10円を中心に100種類以上のグミやガムが所狭しと並んでおります。子どもが硬貨を握りしめて集う「駄菓子屋はらしょう」。春にフルーツ味の棒状ゼリーのメーカー希望小売価格が10円から12円になるなど、今年は約3割の駄菓子の仕入れ値が上がりました。スライムなどの玩具も中国産が主で、円安を背景に7月以降の仕入れ値が上がる見込みです。
それでも同店はほとんどの価格を据え置く予定です。「10円を12円にすると2割増し。数円でも子どもにとっては大きいから」と店長の原田千鶴さん(57)。計算しやすいようにと、もともと消費税分も取っておらずもうけはほとんどないです。「あいさつや買い物を学ぶ場でもあり、私も元気をもらっている。可能な限り維持したいが価格が上がり続けると苦しい」 山口市を流れる一の坂川沿いで、夕方になるとにぎやかな子どもの声が響く老舗「西村商店」。店を営む西村弥生さん(87)のそばには値上げした商品のメモがあります。「さらに仕入れ値が上がったら、他の商品も反映せざるを得ない。子どもはこらえてくれるかね」。山口大付属山口小6年の寺田陽那乃さん(11)は「安いから値段の変化がすぐ分かるけど、ほかにも高くなった物もあり仕方ない」と受け止めております。
製造側も苦心、内容量減らすメーカーも
製造側も苦心しております。駄菓子メーカー、やおきん(東京)は税抜き10円で知られた「うまい棒」を4月から12円にしました。1979年の発売以来、初の値上げで、ホームページで「なくなっちゃうほうが、悲しいから」と題したメッセージを公開しました。「ちゃんと利益を出すことで、駄菓子文化の存続と発展に努めていきたい」と理解を求めております。内容量を減らして値上げ幅を抑えるメーカーもあります。 価格高騰の波は今後も続きそうだ。約3千種類の駄菓子を扱う岡山県瀬戸内市の「日本一のだがし売場」では、1~5月にメーカーから約150種類の値上げ通知があり、6~9月分も約300種類の値上げの案内が入っています。運営する食品卸の大町(瀬戸内市)の担当者は「子どもの笑顔をコンセプトに税込み10円単位にし、低価格の物はできる限り据え置く努力をしている」とした上で「限界があり、15円や25円コーナーといった5円刻みの売り場展開も検討している」と厳しい環境を説明しておりました。