23日、「インド太平洋経済枠組み」(IPEF)が正式に発足し、日本の軍事力と米日同盟強化のシグナルを明確にした米日首脳会談が開かれた。中国を米国主導の国際秩序に対する挑戦者と規定し、同盟を糾合しこれを遮断しようとする米国のアジア戦略の「中核となる布石」といえる。揺れ動く国際秩序の不確実性に備え、巧みな外交が求められる状況だ。
この日の米日首脳会談は、米日同盟の抜本的変化を伝えた瞬間として歴史に記録されるだろう。日本は「専守防衛」の役割を越え、米国と並び軍事的な役割を果たしていくという一歩を踏みだした。日本の岸田文雄首相は、「日本の防衛力を抜本的に強化」する決意を明らかにした。日本は国内総生産(GDP)の1%水準である防衛費を2%台へと大幅に増やし、「敵基地攻撃能力」も確保する見込みだ。中国とロシアの挑戦、北朝鮮核開発などで危機に直面した国際秩序を守るという名分だ。
両首脳はまた、「東・南シナ海における力を背景とした(中国の)現状変更の試み」にともに対応すると述べた。中国が台湾を侵攻した場合、米国は「台湾を防御するために軍事的に関与するのか」という質問を受けたバイデン大統領は、「イエス(Yes)。それが我々の約束だ」と答えた。名分が何であれ、過去の侵略の歴史に対する真の謝罪と反省がない日本の軍事力増強は、韓国をはじめとする近隣諸国から懸念と反発を受けざるをえないことを直視してほしい。
この日正式に発足したIPEFには、韓国、米国、日本、オーストラリア、インド、シンガポール、ベトナムなど13カ国が参加した。安全保障協力体であるクアッド(QUAD)とオーカス(AUKUS)に続く米国の「中国牽制」の枠組みが加わったのだ。「経済・技術協力体」であるIPEFは、実際の稼働に伴い地域の経済秩序を新たに規定しうる。このような流れに対し、中国の王毅外交担当国務委員が「アジア太平洋地域に軍事集団と陣営対決を引き入れようとする試み」だと非難するなど、中国の反発は強まっている。21日の韓米首脳会談で「台湾海峡の平和と安全」が取り上げられたことについても、中国が外交ルートを通じて抗議したことがこの日明らかになった。
アジアでよりいっそう激しくなる米中覇権競争は、北朝鮮核問題と分断、「安全保障では米国、経済では中国に近い」韓国のジレンマを悪化させる懸念が強い。韓国は、国際秩序のための役割を果たすと同時に、米国・日本とは違う韓国の現実に悩まざるをえない。政府は各界各層の世論を集め、バランスを失わない外交を慎重に進めていかなければならない。