日本政府(岸田内閣)は18日、新型コロナウイルスの感染拡大で売上減少した事業者に対して最大250万円を支給する「事業復活支援金」を創設し、2021年度補正予算案に約2兆8000億円を計上しました。地域や業種を問わず事業者を下支えすることで、経済の底割れを防ぐ方針です。11月19日に経済産業省(中小企業庁)から事業復活支援金事務事業の実施計画書が公開され、「事業復活支援金」の概要が明らかになってきました。こちらに詳細な給付条件が記載されています。基本的な仕組みは、一時支援金や月次支援金を参考に設計されていると思います。
◆事業内容の詳細
新型コロナウイルス感染症により事業活動に影響を受け、売上が減少した中堅・中小・小規模事業者、フリーランスを含む個人事業者に対して、その影響を緩和して、事業の継続・回復を支援するための事業復活支援金が給付されます。事業復活支援金とは、新型コロナの影響で2021年11月~2022年3月のいずれかの月の売り上げが、前年か2年前の同じ月より30%以上減った中堅・中小・小規模事業者、フリーランス、個人事業者に対し、最大250万円を支給する支援金です。要件を満たしていれば、借入のように返済義務はありません。
上記の通り、事業復活支援金の上限額は、事業規模と売上減少額に応じて変動します。年間の売上高が1億円未満の事業者は最大100万円、5億円以上は250万円とし、個人事業主には50万円が上限となります。ただし、売り上げが50%以上減少した場合、法人は最大250万円、個人事業主は最大50万円となりますが、売上減少が30%以上50%未満だった場合は、法人が最大150万円、個人事業主が最大30万円となる模様です。
持続化給付金の必要書類などを事前に確認し、迅速な給付が受けられるように備えておきましょう。
◆給付対象
前回の持続化給付金や一時支援給付金などでは、株式会社、有限会社等に加えて一般社団法人なども対象でした。NPO法人や医療法人社団などどこまでが給付対象に含まれるかは確認が必要です。
◆判定時期
新型コロナの影響で2021年11月~2022年3月のいずれかの単月の売り上げが、前年か2年前の同じ月より30%〜50%以上減少していないか確認する必要があります。
◆申請方法
電子申請が基本となります。補助金申請に必要なGビズID(gBizID)はあらかじめ申請して取得しておきましょう。ただし、電子申請が難しい事業者向けに申請サポート会場が設けられる予定です。また申請の際には商工団体や士業(税理士や会計士など)、金融機関などによる事前確認が必要となる見込みです。事前に顧問税理士の方や商工会の方、銀行や信金のご担当者に相談され、常に最新情報を得られるのが良いかと思います。
◆対象期間
2021年11月~2022年3月の5カ月間となり、来年3月までの事業見通しを立てられるよう、5カ月分を一括して支払われる方針です。
◆申請開始時期
事業復活支援金の申請開始は明らかになっていませんが、11月24日以降に発表される見込みです。
◆給付までのリードタイム
審査完了から原則2営業日以内の振り込みとし、振り込みは1日20万件にも対応できる体制づくりが求めており、過去の反省を活かして迅速に対応できる事務局が選定される見込みです。給付までの日数は、申請からだと2週間以内に振り込める体制を支援金事務局に求めています。しかしながら書類に不備等がありますと給付までにさらに時間を要してしまいますので、必要に応じて顧問税理士に帳票を依頼するなど事前準備をしておきましょう。
◆申請件数
中小企業庁は370万件の申請を見込んでいます。対象月が12カ月あった持続化給付金では440万件の申請がありましたが、対象月が5カ月の事業復活支援金はそれよりも申請件数は下回る見込みです。
◆不正防止対策
口座確認、反社会的勢力の排除、法人番号、氏名、生年月日、住所、連絡先等がデータベース化され二重給付の防止が図られています。持続化給付金では、給付の遅れや不正受給も多発したため、再発防止措置がとられています。実際に不正が発生した場合は、必要に応じて追加調査や刑事告発が行われる予定です。